こんにちは、心理カウンセラーのたかむれです。
セッションをしているば
うまくいくときもあれば、
そうでないときもある。
だからセッションを
色んな角度から検討していくことは、
役に立ちます。
まず第一に自分の努力で
何とかなるケースなのか。
それとも無理なケースなのか。
その見極めが大切です。
経験が浅いと、
「何とかしなければ!」
という思いが先立ち、
冷静な目線を持つことは中々難しいです。
私があるクライエントさんのセッションについて、
スーパーバイザー
(セッションについてアドバイスしてくれる人)に
相談したことがあります。
私からの状況説明の後、
スーパーバイザーからは、
「何で続けているの?」
「このケース、俺でも無理だよ」
とあっさり言われました。
そもそもセッションが
可能なケースかそうでないか。
判断を誤っていたのです。
そのクライエントさんは猛烈なアディクションがあり、
アクティングアウト(行動化)も激しかったです。
アクティングアウトというのは、
十分な吟味をすることなく、
衝動的な行動をすることです。
コントロールが
効かない状態です。
感情を抑圧する人ではなく、
解離している人に多く見られます。
主な特徴としては、
話が急に変わり、
一貫性が保てない。
ストレスのかかった出来事を、
言葉で正確に説明することが、
ほとんどできない。
セッションを時間通りに
来ることに困難を感じる。
感情の起伏が極端。
人間関係のトラブルが
しょっちゅうある。
等があります。
もちろん、こういった特徴が多いと、
セッションは無理と決まっているわけではありません。
その辺はクライエントさんの
周りの状況によります。
例えば、
家族のサポートが期待できる。
良質な医療機関とつながっている。
これらがあるとないとでは、
セッションの進み方が全然違いますね。
相談したケースは、
周りとの連携やサポートは、
期待できない状況でした。
解離があり、
アクティングアウトがあり、
周りの条件が整っていない。
カウンセラー、セラピストの努力だけで、
うまくいかないことは
冷静に考えれば明白でした。
でも自分だけでやっていると、
そんなケースでも、
何とかしようと思いがち。
一見誠実そうです。
でも実際は逆。
無理なケースなのに
「何とかしなければ」
という思いに
囚われてしまう背景には、
根拠なく
「できるはず」
という思いがあります。
これは「万能感」と呼ばれます。
「自分は何でもできるんだ!」
と誇っているわけではありません。
一見謙虚で誠実そうな思いの背後にある
隠れた「万能感」。
解離やアクティングアウトの傾向を持つ
クライエントさんの多くは「万能感」の
テーマも持っています。
当然逆転移の形で、
カウンセラー、セラピストは、
万能感に支配されやすくなります。
※逆転移
クライエントさんの中にありながら、
意識されていないものが、
カウンセラー、セラピストに乗り移り、
現れてくる心理現象のこと。
カウンセラー、セラピストが
自身の「万能感」のテーマを咀嚼できていないと、
乗っ取られやすくなります。
そのとき私も「万能感」に
乗っ取られていたのです。
カウンセラー、セラピストは、
「自分には対応できないケースもある」
という現実的なセルフイメージを
持つことは大切。
でもこれが難しい。
「万能感」はある種スーパーマン願望。
魅力ですよね。
でもこれは、
劣等感の裏返し。
ここに囚われていては、
クライエントさんにとっても、
自分にとってもいいことないです。
良い意味での「無力感」を持ち、
それを受容すること。
そのことを
突きつけられた経験でした。
事例を検討することは
単にセッションの方法を
学ぶことではありません。
自分のテーマが
浮き彫りになってくるのです。
やり方だけでなく、
在り方の見直し。
ディープな学びを
積み重ねることです。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。